日本政府観光局(JNTO)は9月18日、2024年8月推計値の訪日外客数を発表した。これまで7か月連続で同月過去最高を更新しており、飲食店にはインバウンドを意識した取り組みがさらに必要になりそうだ。今回は、訪日外客数の状況と、地域別訪日旅行市場の概況について紹介する。
2024年8月の訪日外客数は293万3,000人で同月過去最高
JNTOが発表した2024年8月推計値の訪日外客数は293万3,000人。2023年8月は215万7,190人で、前年同月⽐では36.0%の増加、2019年8月は252万134人で16.4%の増加となった。同月の過去最高を記録したのはこれで7か月連続だ。
台風7号が8月16・17日に関東に接近したこともあり、各航空会社で欠航が相次いだものの、学校休暇などによる訪日需要は増加。多くの国に対して円安傾向も続いており、特に東アジアでは中国、東南アジアではシンガポールとインド、欧米豪・中東地域ではアメリカが前年同月と比べて増加している。
訪日外客数の多い国・地域を見てみると、トップが中国の74.5万人で、韓国が61.2万人、台湾が56.4万人と続く。中国は2019年8月には100万人を超えていたため、コロナ禍以前と比べると大きく回復したとはいえないが、2023年8月の36.4万人からは104.8%の増加と大幅な伸び率となっている。韓国は2019年8月は30.8万人、2023年8月は56.9万人となっており、コロナ禍以降に大きく伸びたといえるだろう。
各国・地域別訪日旅行市場の概況
では、各国・地域別に、8月の訪日旅行市場がどのようになっていたかを見ていきたい。
■中国
最も訪日客数が多かった中国は、日本への団体旅行商品の販売禁止措置である水際規制が緩和され、北京〜成田間、青島〜関西間や地方路線が増便となったことで、日本への直行便数が前年同月を上回った。また、博多港、長崎港、那覇港などにクルーズ船の寄港があったことも影響している。
■韓国
韓国は、地方路線の増便が目立った。仁川~岡山間、仁川~旭川間、釜山~福岡間の増便などがあり、日本への直行便数は前年同月を上回った。
■台湾
台湾は、台中~中部間、台中~成田間などのチャーター便が運航されたほか、台北桃園~関西間、台北桃園~那覇間、高雄~成田間の増便などがあり、こちらも日本への直行便数は前年同月を上回った。また、那覇港、博多港などにクルーズ船も寄港した。
■香港
香港は、中国、韓国、台湾に続き、訪日外客数は4位。香港〜成田間の増便があったほか、香港~徳島間、香港~仙台間などでチャーター便が運航。8月の過去最高の訪日外客数を記録した。
■タイ
タイは、中国の査証免除措置によって中国への人気が高まったが、バンコク〜中部間の増便などもあり、日本への直行便数と訪日外客数ともに、前年同月を上回った。
■シンガポール
シンガポールは、シンガポール〜成田間の増便や、航空関連の各種プロモーションなどの影響で、日本への直行便数は前年同月を上回った。訪日外客数も8月としては過去最高を記録した。
■オーストラリア
オーストラリアからの訪日外客数は4.1万人で、前年同月比48.7%増。2024年4月にシドニー~関西間が再開したこともあり、直行便数が2019年水準を上回った。訪日外客数も8月として過去最高を記録。
■アメリカ
アメリカからの訪日外客数は17.4万人で、国・地域別では5位。前年同月比では25.8%増となっており、8月として過去最高を記録した。2024年5月にグアム~羽田間が新規就航したこともあり、日本への直行便数は前年同月を上回った。
■スペイン
欧州の中でも、スペインは前年同月比49.9%増と目立っている。コロナ禍以降は日本への直行便が運休したままだが、経由便が多様化したこともあり、訪日外客数は単月として過去最高を記録。なお、イベリア航空が2024年10月末から再開することになっている。
日本政府は観光立国を推進しており、2025年には2025大阪・関西万博も開催される。訪日外客数は7か月連続で同月過去最高を更新しているが、今後もさらに増えていくはずだ。飲食店としてもインバウンド需要に備えて、集客やサービスなどの対策を行っていく必要があるだろう。