高齢者による強姦が30年で7倍に…性犯罪の知られざる真実
「30年前に比べて強姦7倍、強制わいせつ19倍」の衝撃
――40年以上、大家の娘に付きまとって最終的に電マ持って女性宅に突入した事件ですね……。高齢者の犯罪が増えていると耳にしますが、性犯罪も同様でしょうか?
諸岡氏:「犯罪白書」(法務省・2015年版)によると高齢者の犯罪は30年前に比べ、強姦が7倍、強制わいせつは19倍になっています。高齢者の事件はキリがないので逆に一本だけにしようと思い、“チャンピオン”を選んだらこの事件になりました。この事件の加害者は認知症で、犯行内容自体も強烈ですが加害者の当時56歳の息子を思うとちょっと他人事に思えなかったんです。息子は離れたところで家族を持って仕事しているのですが、親と縁が切れているわけではない。帰省や連絡もしていたのに、父親の犯行や病状に気付かなかった。似たような境遇の家庭はいまたくさんあるだろうなと思います。
――周囲の人がなかなか気づけないという意味では、Twitter・LINEなどから発展する事件もやはり多いですね。
諸岡氏:小さい子供を抱えたバツイチの女のところに男が入り込んで、児童虐待で殺害といった事件は出会いのきっかけがほぼネットですね。一人で寂しいシングルマザーが出会い系やSNSで出会い、言葉では甘い言葉を言ってくれる男に夢中になって、一緒に住んでみたら子供が邪魔とか言って虐待する……といった事件です。児童虐待の裏にネットありって感じです。
9割の性犯罪はこれで防げる
――レイプなど、性犯罪というとやはりほとんどは若い女性が被害者になりますが、女性が性犯罪に巻き込まれないために、どういったことが大切でしょうか。
諸岡氏:基本的なことですが、「夜遅くに一人で出歩かない」「玄関ドアや窓を必ず施錠」「カーテンの色を赤系やピンク系にしない」ことですね。この3点を注意するだけで9割の凶悪な性犯罪は防げると感じます。性犯罪者にはほぼ同じ特徴・行動パターンがあって、無職で住所不定の男が昼間に自転車に乗って襲うアパートとかを下見したりするんですよ。狙いつけた女性の自宅に入るか、夜遅くに1人で出歩いている女性を襲うか、だいたいどっちか。だからベランダに男物のトランクス干したり、玄関先に男物の革靴を一足置くと、ベテランのレイプ魔はすぐ危険を察知して逃げるので効果的。でも女性は『週刊実話』とか読まないので…(笑)、それこそ25年間、何度も同じようなパターンで悲惨な事件が起き続けています。ウンザリするほど。
――被害に遭っても水面下に隠れて立件できない被害もやはり多いんですね。
諸岡氏:レイプ被害に遭った人で警察に届けるのは、今年発表されたばかりの内閣府による「男女間における暴力に関する調査」では5.1%という統計もあります。犯人が捕まり立件されて処罰されるのは、100件に1件くらいでしょう。盗撮も罪としては軽くて盗撮映像販売サイトでは、女性がどこの誰か簡単に特定できるようなモノが平気で売られている。「すべてのモデルは18歳以上で、承諾を受けています」なんてウソですよ。ところが、盗撮魔は3回目まではフリーパスで、4回目になってからようやく正式裁判になる。それまでは罰金刑です。
――盗撮したものを自分で編集したりして楽しんでいた警官が、最後は女子高生をレイプしてしまう事件もあったんですね。ストーカーに関しては警察の対応などどう思われますか。
諸岡氏:ストーカー規制法ができるまでは警察もほぼ無視状態でしたが、近年は法改正も重ねられストーカー殺人だけは絶対起させるなということで、警察も死に物狂いです。それほど未だにストーカー事件が多いということも逆に言えるんですが……。
――加害者になることが多い男性ですが、性犯罪者の傾向のようなものはありますか。
諸岡氏:いま性犯罪者を捕まえてみると、その裏に必ずと言っていいほど子離れできない母親がいます。“男は仕事、女は家庭”みたいに母子密着だった時代の子離れが全然できていない母親ですね。そういう母親が情状証人として、「この子に寛大な判決を。私が監督します」とか言って、息子がやってきたことを棚に上げ、自分にとってすごくいい子であるということを訴えるケースが非常に多い。息子を自立させない・自立させられないような母親がいるから、息子が自分で女を見つけることもできなくて、変な性癖を持ち始めてこんなことになっているんだろうと。息子を性犯罪者にしたくなかったらもう早い時期に子離れすることを考えた方がいいだろうなと思います。――今後もこうした性犯罪の事件を追っていくつもりでしょうか。
諸岡氏:取材記者として事件が起きるとその関係者をあたり、真相に迫ろうとしますが、本当のところは当事者にしかわからないことも多いと痛感します。男と女の事件は特にそうです。だからこそ、“生々しいドキュメンタリー”の裏側、全然わからなかったものを知った時のやりがいはあるし、25年近くそれに取り憑かれてしまったような感じ。全く報道されず社会から隠れた奇妙な事件がたくさん存在するということに気づき、そうした事件を発掘する仕事にのめり込んできたので、これからも需要のある限りは続けていきたいですね。
<取材・文/伊藤綾>
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