日本政府観光局(JNTO)統計によると、2024年5月の訪日外国人旅行者数(推計値)は約304万人。前年同月比約6割増という勢いだ。また、今年3月以来、3か月連続で300万人超えが続いており、飲食業界も訪日客を取り込むべくさまざまな施策を打ち出している。
「食べログ」は多言語版サービスを強化
6月26日、カカクコムは「食べログ」の多言語版でインバウンド向けネット予約サービス「インバウンド予約」の本格展開を発表した。「インバウンド予約」では、食べログに掲載されている店舗の詳細な情報、写真、クチコミなどが英語・中国語(繁体・簡体)・韓国語に自動翻訳され、利用者は空席カレンダーから簡単に予約できる(2024年7月現在「コース予約」のみ可能)。
また、総合決済サービスを手がけるDGFTと協業しているのも注目すべき点だろう。これまで、飲食店としては訪日客を取り込みたい一方、キャンセルに関する課題によりネット予約には消極的にならざるを得ない側面があった。
そこで、「インバウンド予約」はDGFTの決済ソリューションを活用。予約時のクレジットカード情報登録を必須とし、店舗のキャンセルポリシーに抵触した場合はキャンセル料金の請求を可能にした。飲食店の収益性と効率化の向上につながるサービスになると期待される。
各社がインバウンド予約サービスを拡充
「食べログ」のほかにも、各社がインバウンド予約サービスを提供している。代表的なものは次のとおり。
■TableCheck(テーブルチェック)
世界中の飲食店と消費者を繋ぐ予約ポータルサイト「TableCheck」は、18言語対応、インバウンド集客力の高いメディアなどとの機能連携が特長だ。Googleマップ上で予約できる「Googleで予約」や、インスタグラム/フェイスブック上で予約ができる「席を予約する」機能、トリップアドバイザー、アメリカンエキスプレス、ミシュランガイドなどと連携している。また、予約時には利用者のクレジットカード情報を取得するため、ドタキャンや無断キャンセルが発生してもキャンセル料を請求できる。
■OMAKASE(オマカセ)
GMO OMAKASE株式会社が開発・運営する、人気飲食店に特化した予約サービスで、ウェブ上で日本語版と英語版の切り替えが可能。独自の審査基準に基づき厳選した店舗のみを掲載し、ミシュランガイドを展開する日本ミシュランタイヤ株式会社とウェブサービス・グルメ領域においてオフィシャルパートナー契約を結んでいる。飲食店はウェブ上での予約受付や既存の予約の管理、キャンセル発生時の顧客へのキャンセル情報の発信が可能だ。
■SAVOR JAPAN(セイバージャパン)
グルメメディア「ヒトサラ」の多言語版。英語・韓国語・簡体字(中国、シンガポール、マレーシア)・繁体字(台湾、香港、マカオ)に対応している。電話予約サポートがあり、3者間通話もできる。
SAVOR JAPANに掲載すると、メディア連携先である「tsunagu Japan(訪日メディアのひとつで、台湾・香港からのアクセス多数)」「Japan Travel by NAVITIME(訪日外国人旅行者向けに特化したナビゲーションサービス)」「Alipay(中国本土で10憶人以上が利用するデジタル決済のプラットフォーム)」にも店舗情報が掲載される。
訪日外国人旅行者の滞在中の支出のうち、飲食費が占める割合が高いことはさまざまな調査から明らかになっている。今後も増えると予想される訪日外国人旅行者に店舗の情報を確実に届けるため、専用のポータルサイトを積極的に活用していきたい。